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龍樹(ナーガールジュナ)は、紀元2世紀から3世紀にかけて(A.D.150-250頃)活躍したと言われる、初期大乗仏教の教えを大成したインドの人です。彼は南インドに生まれたといわれています。南インドのデカン高原のクリシュナ川流域にナーガルジュナコンダ という地名があり、そこに有名な仏教遺跡がありますが、そこの出身ともいわれます。
彼は若い頃から学識豊富な人物と知られていました。しかし素行面では問題が多かったようです。伝説によれば、隠身の術を悪用して、ある王様の宮廷に出入りして、宮廷の美女を犯してまわったそうです。しかし龍樹以外の友人たちは捕まり、殺されてしまいます。どうにか生き延びた龍樹は、これを機に改心し、出家したと言われています。
その後、伝説によれば龍樹は90日で部派仏教(小乗仏教)の教説をマスターし、大乗経典の多くを読み、さらには海底の龍宮にて、『般若経』と思われる仏典を授かったりします。
これらの伝説の真偽の程はともかく、彼がはじめ小乗仏教を学び(特に説一切有部といわれるグループの教えに精通していたとされます)、その後大乗仏教を学び、大乗仏教の最も重要な教説の一つである「空」の思想を大成し、当時興隆しつつあった論理学に深い関心を持つと共に、「空」の思想の立場から論理学を批判している事などは、ほぼ正しいとされているようです。
この「空」の思想を大成したと言われる書物が『中論』という彼の主著です。この中で龍樹は、お釈迦様が説かれた「縁起」の教えを元に、「存在という現象も含めて、あらゆるモノは因果関係の上に成り立っている」ことを論証しています。さらに、この因果関係によってモノはあるわけであるから、それ自体のみで存在するという説(=「自性(実体)」)は違うということになります。これから、龍樹の考えた「空」は「無自性空」とも呼ばれます。
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