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『金剛頂経』は、『大日経』と共に「両部の大経」と称される、真言宗で最も大事な経典です。ただ『大日経』と違って、『金剛頂経』の名称は、広義には1つの経典を指すのではなく、「金剛頂部」といわれる経典群を指すもので、その量は膨大なものとなります。
ただ、普通『金剛頂経』という場合には『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経』の亊を指します。この『金剛頂経』には、サンスクリット写本、漢訳、チベット訳が現存しています。この『金剛頂経』は、8世紀までには成立していたとされており、その成立地は南インドとするのが一般的なようです。漢訳は空海の師である恵果の師、不空が753年に行いました。
『金剛頂経』は『大日経』に比べると、より実践面への傾倒が見られる経典といっていいでしょう。因縁分、根本タントラ、続タントラ、続々タントラ、流通分の5つに分けられますが、そのうち根本タントラが本文に当たります。
根本タントラの中心は、一切の如来たちが一切義成就菩薩に示す「五相成身観」という瞑想法です。「五相成身観」とは以下の5つのプロセスを経て仏となるための修行法です。
@ 自分の心は月のように清く、それが悟りを求める心であると知る。
A その理解を深める。
B 心に描いた月(自分)に五鈷杵(密教の仏具・仏のシンボル)を思い浮かべる。
C それによって自分と仏が同体である事を知る。
D 自分は仏のすべての特性を具えているという自覚を深め、悟りを完成させる。
以降は、『大日経』と同様に、曼荼羅の描き方やさまざまな儀礼の具体的なやり方が事細かに述べられています。
この経典の内容を視覚化したのが、金剛界曼荼羅です。この曼荼羅は真言宗の寺院では必ず胎蔵曼荼羅(『大日経』の教えを視覚化した曼荼羅)とセットにして置かれています。
そのことからも分かるとおり、『大日経』と『金剛頂経』でそれぞれ展開される密教をセットにして体系化したのが、真言宗の密教といえるかも知れません。
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