『弁道話』(べんどうわ)は、道元の著作であり、全一巻です。寛喜三年(1231)、道元が建仁寺より深草の安養院へ移った年に撰述されました。
嘉禄三年(1227)に具体的な坐禅の仕方について述べた『普勧坐禅儀』が著されましたが、本書は、それに続く著作であり、なぜ坐禅をするのか、より詳しく坐禅について記述されています。
本書の構成は、十八の問答が中心となっています。ここに収められている問答は、まだ道元が建仁寺にいたとき、訪ねてきた懐奘に質問された問題が取りあげられているといわれています。臨済宗の坐禅を学んできた懐奘の質問に対し、如浄から受け継いだ「正伝の仏法」を主張する立場から答えています。
その中の第七番目の問答には、悟りを求めて行う坐禅について、それを斥ける道元の厳しい意見が展開されています。道元の主張によれば、悟りを求める坐禅は、修と証を分けるところに問題があり、修と証を一つと見なす「修証一等(しゅしょういっとう)」の坐禅を行なうべきであるとしています。この坐禅を「証上の修」とも述べています。このような坐禅の捉え方は道元の特色を示す主張とされます。
本書は、道元の主著とされる『正法眼蔵』の中の一巻として数えられる場合があります。永平寺に伝承される本山版『正法眼蔵』(全九十五巻)には、「弁道話」の巻として九十五巻中の第一巻に加えられています。しかし、七十五巻本『正法眼蔵』や六十巻本『正法眼蔵』には加えられていません。
本書は、春秋社発行の『道元禅師全集』第二巻、岩波文庫『正法眼蔵』(一)などに収められています。
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