『正法眼蔵』(しょうぼうげんぞう)は道元の主著の一つですが、これには仮字『正法眼蔵』と真字『正法眼蔵』の二つの『正法眼蔵』があります。
仮字『正法眼蔵』は仮名まじりの和文で書かれているところから「仮字(けじ)」と呼ばれており、真字『正法眼蔵』は漢文で書かれているので「真字(しんじ)」と呼ばれています。単に『正法眼蔵』といえば、一般的には仮字『正法眼蔵』のことをいいます。真字『正法眼蔵』は三百則の公案を集めて編集されており、仮字『正法眼蔵』と区別して、『正法眼蔵三百則』とも呼ばれております。
仮字『正法眼蔵』は、弟子たちのために説き示した説法を集めて編集したものですが、写本として伝わっている編集形態には何種類かあります。
古い時期に編集されたと思われる体系としては、七十五巻本『正法眼蔵』と十二巻本『正法眼蔵』があります。また、江戸時代に永平寺より刊行された九十五巻本『正法眼蔵』があります。これは本山版『正法眼蔵』とも呼ばれています。
七十五巻本と十二巻本は全体の体系のもとに編集しているとされますが、九十五巻本は、全体の体系を考えて編集されているのではなく、説法した年代や書写した年代によって配列されているといわれています。
真字『正法眼蔵』は、道元が三百則の公案を選び集め、一巻に百則ずつ収め、三巻にまとめた著作ですが、それぞれの公案に対する道元の解釈などは付け加えられていません。公案は、祖師方の言葉や問答や悟りの機縁などを伝えたものです。それは仏道を修行する場合に用いられる参考書ともいえます。
仮字『正法眼蔵』は、春秋社から発行されている『道元禅師全集』の第一巻と第二巻、岩波文庫などに収められています。また、真字『正法眼蔵』は、同じ『道元禅師全集』の第五巻に収められています。
|